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Hideo Kosaka
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2008/12/14
経営理念をなぜ作るか?

こんにちは。小坂です。今回は経営理念について書いてみました。

少々長いです。お時間のある方は、ご興味がありましたらご覧下さい。

 

経営理念をしっかり持っておくことが、従業員や顧客と関係を築く上で重要であることは、言うまでもありません。

どんな目的で経営理念を設定するのか、考えてみました。

 

1.経営理念を作る目的

<社内>

(1)従業員の行動の拠り所・・・従業員が迷ったときや、ルールがない場面などで、行動の判断基準となる

(2)従業員の忠誠心向上・・・共鳴すれば、高いモチベーションを持つ

(3)従業員の団結・・・同じ方向性を持って仕事をする

(4)従業員の営業補助・・・自社を説明することが容易

(5)従業員の質的向上・・・経営理念を実現するために、従業員一人一人がたゆまぬ努力をする

 

<社外>

(6)共鳴者の募集・・・株主、取引先として、共に働きたい人に対して、共感してもらうためのメッセージ

(7)社会へのコミットメント・・・社会に対して「約束」することにより、自社の戒めとする

(8)他社との区別・・・同一業種、取扱商品が似ているとき、自社はどこが違うのかを表示する

 

2.経営理念を作る難しさ

私自身も経営理念をホームページに掲げていますが、「中小企業のオヤジを元気にしたい」「一人でも多くの人が自分の生活を手に入れてほしい」という想いは、今でも変わっていません。

これを次のように表示してみましょう。

<経営理念> 

一 「中小企業のオヤジを元気にしたい」

一 「一人でも多くの人が自分の生活を手に入れてほしい」

これだけで従業員、社外の人達に自社の考えを分かってもらえるでしょうか。言うまでもなく、これでは実にぼんやりした印象を受けます。

今まで「経営理念を作ることは難しいな」と考えていました。明快に自社を伝えるフレーズを考えるのですから、難しいのは当たり前でないかと。でも、「なぜ伝わらないのか?」 を考えたときに、少しずつ答えが見えてきました。要は、この言葉だけでは不足なのです。誰もが知っている老舗の会社であればともかく、創業間もない会社であれば、言葉を足さなければ、理解してもらえるはずがありません。

 

3.経営理念の作り方

では、どのような言葉を足すか。次のような事柄を追加すると、経営理念が生き生きとしてきます。

(1)経営理念が生まれた背景

(2)経営理念を実現するための行動

(3)経営理念を実現した事例

最後に、これらを実際に多くの人に確認してもらうことにより、さらに強い共鳴が生まれます。

私がかねがね素晴らしいと思っている会社の一つに「東海メディカルプロダクツ」という会社があります。「一人でも多くの生命を救う」という言葉が創業精神として掲げられています。この会社を知っている方ならともかく、この言葉だけなら何も感じるところがないかもしれません。

そこで、ここをご覧下さい。会社をスタートするきっかけが記されています。そして、実際にどのように経営理念を叶えてきたかを知ることもできます。

実に誇らしい、素晴らしい会社ではないでしょうか!

 

4.私の事業では...

では、私の場合に当てはめてみます。先ほど掲げた自社の理念に言葉を足してみたいと思います。現在のところ、創業して5年半が過ぎたところなので、これから結果を積み上げていかなければならないのですが..

<経営理念> 

一 「中小企業のオヤジを元気にしたい」

一 「一人でも多くの人が自分の生活を手に入れてほしい」

(1)経営理念が生まれた背景

銀行に勤務しているとき、遅くまで仕事をして、同僚・先輩とよく会社の近くで食事をしていました。とても美味しいと評判のお好み焼き屋さんがあり、その日も数人で行き、美味しいソースのお好み焼きで残業後の疲れを癒しておりました。

翌日、夜逃げしました。同僚の担当先でした。銀行としては「怪しからん」話なのですが、私は「あんなに美味しいのに、なぜ夜逃げしなければならなかったのだろう?」と考えました。倒産など、月に数回情報が流れてくるので日常茶飯事だったのですが、これほど身近に感じられたことは初めてで、ショックでもありました。

この日から、「中小企業が夜逃げせずに済むように、何か自分にできないか?」と考えるようになりました。そして、実際に行動に移すことにしました。

クライアントに対する貸出金利を上げるよう、指示を受けていた時期があります。営業成績が上がらないと、上席に対する発言権もないので、言われるままに金利引き上げ交渉をすることになります。会社の方針とはいえ、少し前の経営理念「お客様第一主義」とはほど遠い指示なので、到底承服できません。ささやかな抵抗を試みることにしました。

このためには、「営業成績を上げること」が必要でした。そうすれば、社内での発言権も増し、自分の顧客をある程度守ることも可能になるのです。営業成績を上げることは半端な努力では不可能でしたが、何とか納得のいく結果は出せたのではないかと思います。

しかし、銀行内では実現できないことがありました。

銀行は、取引先の業況が傾いてきたとき、貸出を締め付けなければなりません。融資枠を縮小すると言うことは、当然起死回生策の選択肢も減少することになります。貿易取引が実質できなくなってしまった例もあります。企業努力が足りなかったとバッサリ言い切ってしまうことは簡単ですが、「晴れた日に傘を貸し、雨の日に取り上げる」ことが基本となるのであれば、常に良心の呵責と戦うことになってしまう、と感じていました。財務内容をスコアリングし、基本貸出金利を設定していたので、「業況が悪くなると金利を引き上げる」こともありました。銀行にいると、業況が悪くなった会社に、何もしてあげられない。この無力感は、たいへんなものでした。もちろん、経営コンサルティングなど銀行員に期待しません。「期待されない」と言うのは、これほど寂しいものかと思いました。

そこで、「起業したら、全面的に想いが実現できるかもしれない!」と考え始めたのです。これが起業の一つの大きなきっかけとなりました。

 

(2)経営理念を実現するための行動・(3)経営理念を実現した事例 

良い状態を、さらに伸ばすこと。これは素晴らしいことです。100年の計をもって企業経営を進めていけたら、これほど安心を生むものはありません。経営者も従業員も、毎日の生活を「安心して」送ることができるでしょう。

ところが、業況が悪化することもあります。景気の悪化などの外部環境の変化に伴い、影響を受けてしまうことは多分にあります。経営建て直しのために、企業が何をするか。この選択肢を増やしていくことを心がけています。そのために私がすべきことは、「知識のインプット」「経験の蓄積」の2つです。銀行時代と比べ、情報の感度が大幅に上がりました。一つの情報を目にしたときに、自社の経営に役立つかどうかを考えるだけでなく、クライアントや周囲の人達に何か役に立つのでは?と考えるようになりました。その「役立つ先」が増えているため、アンテナに引っかかる情報が飛躍的に増えているのです。情報に対してどん欲になったとも言えます。

そして、ストックされた情報が増えてくると、顧客へのレスポンススピードが上がります。「即答できることをいかに増やすか」、これが課題です。顧客と一緒に立ち止まって課題の解決を考え、その結果を活かしていく。日々調べものばかりすることになりますが、間違いなくこの積み重ねが力になっていくのを感じています。端から見ればとても面倒なことを、手間をかけてしているわけですが、こういう「面倒なこと」というものこそ価値が付くのではないかと考えています。

起業当初は企業の業績向上策としてIT活用を考えた時期が続きました。もちろん、私も一通り研究して、自社サイトで試してみて(MAX18000アクセス/1日)、顧客にも使えるであろう情報を収集しました。こういったことを続けていたせいか、1年目の年明け辺りから、ホームページ制作の依頼がひっきりなしにきていました(今はコンサルティングに集中しているためストップしていますが)。「初めてホームページから売上が来たよ!」という声を聞くたびに、うれしさがこみ上げてきました。それは、銀行時代にはできなかったことだからです。売上を増やすために運転資金を融資することはできても、売上を直接生むための提案が、何もできなかったからです。

現在も、起業家と多く接しています。1週間で20-30名と話をしています。彼/彼女達が「とてもできない」と感じていたことを実現するお手伝いをして、それが実現したときの喜ぶ顔を見ると、「これでしばらく夜逃げはないよね?」と、私自身も少しホッと安堵するわけです。

 

5.参考資料

最後に、経営理念に関連する資料をご紹介します。 Googleは、特に参考になるのではないかと思います。実際に何人かの悩める起業家に紹介したことがあります。

 

●参考:グロービスMBA講座「経営理念と戦略レベル

 経営理念とビジョン、経営戦略を区別しています。

●参考:実際に使われている経営理念の一覧

 主に上場企業の経営理念を見ることができます。

●過去エントリー Googleの発見した10の事実 (2008.4.25)

 個人的には、これが分かりやすくて、社内でも対外的な面でも効果的かと思っています。全ての企業が事例の東海メディカルプロダクツさんのように感動的なSTORYを持っているわけではありませんから。

●関連:事業計画書はなぜ作るか?

 

(長文をお読みいただき、ありがとうございました!) 

記事リンク:経営理念をなぜ作るか?||言語
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