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先週のあい創会(創業プラザあいちのメンバーで構成される会合)で、会員の加藤慎康さん(ビジネス・シナジー・オーケストラ)が講演してくださいました。その中のテーマで、興味深いものがありましたので、自分なりに考えてみました。
加藤さん、よい機会をいただき、ありがとうございます。
●小さな会社が大企業と対等になるには?
まず、何をもって対等かという原点からスタートしますと、次のような関係が考えられます。
| 1.相手が一方的な価格決定権をもたない
2.特定の企業に依存しない(特に下請関係)
3.仕事を断るという選択肢を持つ
4.担当者レベルで主従関係が発生しない
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私も、とても小さい組織を運営しているので、これらを構築することがどれだけ難しいことかは理解しているつもりです。これができればいいよなぁと、ため息が聞こえてきますね。
では、これらを一つずつ見ていきたいと思います。
●1.相手が一方的な価格決定権をもたない
大企業、特に(財務内容が)優良な企業は、バイイングパワーを持っています。より良い条件で、商品を仕入れることができます。サービスも同様です。「単価が○○円を切るなら、検討してもいいよ」などと、商談の場面で聞かれます。「○○円なら、話にならないね!」などと、いわゆる「上から目線」の発言が出てくるかもしれません。
これは、「商品の特徴がない」場合は顕著です。同業他社を探せば入手できるような商品であれば、別にあなたの会社で買わなくても良いわけです。例えば「大学ノート」は、どんなものでも使い道はあまり変わりません。紙の質にこだわる方がいらっしゃるにしても、ごくわずかでしょう。あなたの会社が1冊30円で提供すると言っても、他社が25円で同じ枚数のノートを提供できると言えば、そちらに取引が流れてしまう可能性が濃厚です。
(解決策)
小さい企業が、自社商品の価格決定権を持つには、「独自性」が必要です。ありふれた商品で「独自性なんかないよ」と言う状態であれば、「独自性をつくる」しかありません。そうすれば、しばし価格決定権を引き寄せることができます。
問題は、それが何年(何か月)続くかということです。「起業マップ」の「起業環境調査」に掲げた「商圏調査」「競合調査」「ニーズ把握」「商品寿命調査」「リスク調査」を継続的に行い、「商品企画開発」をしていくことが必要です。
*「起業マップ」と名付けましたが、起業時だけでなく企業に役立つ項目を並べてあります。
●2.特定の企業に依存しない
「一生面倒を見てやる!」と言い、実践する企業はあるのでしょうか?
残念ながら、それは「社内の従業員の面倒を見る」ということならありうる話ですが、他社に対してそこまでできるはずがありません。確かに業績・財務内容が優れた企業であれば、ある程度は面倒を見ることができるでしょう。しかし、昨今の製造業の例を見るまでもなく、強い企業に依存してしまうことはとても危険です。親亀こけたら...という話です。
特定企業のために生産設備を増強し、従業員を増やして、そして仕事が一気に減った場合、増大した固定費が重くのしかかります。これが全体の1/10だったらまだしも、100%の依存度だったら、自社の運命を大企業に委ねることになります。これほど怖いことはありません。例えば販売代理店の地位を獲得したはよいが、製造元の商品品質が落ちてきた場合、当然ながら商売の前提条件が崩れるので、店舗や事務所、従業員を維持することができなくなります。FCも同様。本部が倒産した場合、共倒れになります。慎重なフランチャイザー選びをしなければなりません。
(解決策)
起業マップで言うと、「商品企画開発」に加えて「マーケティング」の努力も必要です。経営努力により多くの顧客を獲得すれば、その小口分散が、貸倒リスク、さらには自社の経営リスクを小さくしてくれます。
●3.仕事を断るという選択肢を持つ
「仕事を断ると、二度と来ない」と言われることがあります。一面では事実です。頼んだ会社の担当者は「ムカッ」とすることでしょう。しかし、現実に業績の良い会社は、仕事を断ってばかりです。なぜかというと、自社から依頼するだけでなく、他社からの取引オファーも多いからです。必然的に、断る回数も増えてきます。「この話を断っても、他にもっと良い取引ができる」と思えるのであれば、最善の選択をすることができます。
もう一つ、断るメリットがあります。それは、顧客に最善の選択肢をあげることができることです。売上や利益を追求して、「何が何でも自社に取り込め!」という方針だと、自社の提案が顧客にとって最善とは限りません。顧客が迷っているときに、「あなたは弊社のサービスを今受けるよりも、もっとよい選択肢がありますよ」と言ってあげられるというのは、究極のサービスかもしれません。もっとも、顧客が「これが欲しい!」と強く思っているのであれば、変に代替案を出すよりも、そのまま有り難く販売するというのが常道ですが(店頭でのアパレル販売はこれが言えるかもしれません)。
(解決策)
仕事を断るには、「相手からのオファーを増やす」ことです。これに尽きます。商品・サービスの魅力を向上することは必須です。プラスアルファで、経営者や従業員の魅力を上げるということもあるでしょう。「友達の輪」で仕事が増えることもあります。その際、きっちり仕事をしていないと、紹介を待っていても来るはずがありません。「全く同じ条件ならば、あなたの会社から買いたい」と思ってもらうことです。さらに、「少々高くても、あなたの会社から買いたい」となれば、大成功です。
●4.担当者レベルで主従関係が発生しない
「仕事を出してやっている」という意識を取引先に持たれてしまうと、担当者レベルで(もしくはこちら側は社長で)、主従関係に近いものが出来上がることがあります。電話一本で呼びつける、接待を要求される、プライベートの用事まで言いつけられる、 などなど、枚挙にいとまがありません。三国志の世界のように、生死を誓うレベルの主従関係ならば美しいのですが、商業の世界で取引先との主従関係は、あまり美しいものではありません。おそらく、日常感じる「対等でない関係」は、この「担当者レベル」での出来事に感じることが多いのではないでしょうか。感情的に問題がこじれることもあるので、これは互いに良くない関係であるとも言えます。主従関係が行き過ぎると、「恫喝」となることもあります。
(解決策)
本来このような関係は望ましくないので、取引をしないことが最高でしょう。しかし、現実にこのような関係となってしまった場合は、何とか打開策を考えなければなりません。
顧客から「取引をいただいている」という意識になってしまうと、必要以上にへりくだって、相手を神様のように持ち上げてしまいます。これは危険です。また、「買ってください。お願いします!」 というスタンスで取引を始めてしまうと、相手が強くなります。相手に自社の良さをきちんと理解してもらい、選んでもらうことが重要です。「お願いします」という言葉は、ある意味NGワードとも言えます。使って良いのは、「今後ともよろしくお願いします。」という締め・社交辞令の一言か、「いついつまでにご用意をお願いします。」などという、事務レベルの言葉でしょう。
●大企業と対等になる方法
私も開業時に、大企業と対抗することは考えていませんでしたが、自社を強い立場に置くにはどうすればよいか、かなりの時間を割いて考えてきました。そして、いまも考えています。その中で、実際に取り組んで、実現してきた手法をいくつか紹介します。
(1)自社の居場所を確保する
マーケティング用語で言えば、「市場でのポジショニング」ということになります。居心地の悪い場所にいては、商売が続きません。何しろストレスが溜まります。例えば、法人設立という業務は、インターネットの発達によって一気に報酬水準が下がりました。私が事業を始めた平成15年と現在、平成20年を比べると、たった5年ですが、「今は昔」という感があります。誰もが簡単に参入できる市場は、長居無用です。しかし、参入障壁を高くすれば、しばらくの間は安住できます。契約書のワークを入れた研修・講座などはその一例かもしれません。実施日には数多くの質問が飛んできて、よほど好きでないと苦痛を感じる時間となるでしょう。また、起業支援に関しては、数千件という多くの相談を受けてきて、ノウハウの蓄積ができてきました。そしてそれはペースを上げて増え続けていきます(先週だけで40件の相談です)。これらが私の居心地のよい場所となり、付加価値を感じていただけるものとなっています。そういった場所を、今後とも増やしていかなければなりません。何より、専門性を深めていかなければなりません。「広く浅く」と申し上げていますが、その「浅く」というものをどれだけ深くできるかがポイントだと考えています。
(2)「お願い」はしない
これは、サラリーマン時代から意識しています。先ほど述べたとおり、NGワードだと思っています。相手に「お願いします」と言われるためには、それなりの準備が必要です。銀行時代で言えば、「お金を借りてください」とは言いません。「借りて下さい」などと言うから、現在「貸し渋り」が起こったときに文句が頻発するのです。「昔は借りてくれと言ったのに、今後は貸し剥がしか!」、ごもっともな言い分です。「時代と担当者が変わった」では、言い訳にならないでしょう。
お願いをしないというのは、プッシュ型の営業をしないということと似ているかもしれません。私は1年目はホームページを公開し、地元の広報誌いくつかに広告を出したことがあります。仕事をいただきましたが、ほとんどはホームページでした。訪問者は、報酬水準や自分の考えをある程度知った上で依頼してくるので、スムーズな商売ができました。「値切られる」ことも、ほとんどありませんでした。顧客と「対等に」仕事を進めてきたことがほとんどです。これは収益機会を減らしていることに他なりませんが、とても素晴らしい顧客に囲まれて、ほぼ100%、満足して仕事をしております。これはサラリーマン時代の「楽しい仕事は5%程度」と大きく違います。同じお願いをしない、ということでも、合理性のあるノルマかどうか、業界の環境がどのようになっているか、これらを理由に、私自身の満足度は大きく違っています。
お願い、ではなく、自分の価値をきちんと分かってもらう。そのためには時間が必要です。1年目はホームページからの受注:紹介・リピートの受注が9:1でしたが、2年目は7:3、そして6年目の現在は1:9と、とうとう逆転しました。ホームページからの問い合わせの「1」は、お断りすることが多く出てきたため、この数字となっているものです。「武士の商法」のようにふんぞり返ってはいけませんが、本当に自分の力を発揮できる仕事に集中してできる環境を得ていると言うことは、幸せなことです。
(3)顧客の最善を提供する
何か業務の相談を受けたときに私が仕事をすることが最善でない場合、ベストを提供してくれる周囲の方を紹介することが多くあります。これは年を経るごとに増えてきました。行政書士に関連する業務ではあるけれども、ほとんどの仕事を知人の司法書士の方にお願いするような場合は、最初からその方にお任せした方が安いので、そちらをお勧めする場合があります。一緒に行った方が良い場合は、一緒に仕事をします。自分の会社だけで顧客を囲い込まない方が、顧客は喜んでくれます。自社で完結するのであれば、それがベストです。
当然ながら、開業当初は、それほど多くの仕事がありませんので、ベストとはほど遠い仕事を提供していたかもしれません。ただ、昨日より今日、今日より明日の仕事が勝っていなければならないはずで、「ベストを提供」するために、その方法は日々変化していきます。A社様の仕事を終えて、その次のB社様には、よりよい品質の仕事を提供することができる。そうでなければならないと考えています。
大企業と比べると、これに関して特に強みを発揮できるのが我々小企業ではないでしょうか。何が何でも自社に収益を落とさなくても良いと考えると、余裕が生まれ、顧客にベストを提供できます。その提供者が自社ではないかもしれないという、このような決断ができるのです。それは、職業をどう選ぶかという判断にかかってきます。しっかりリサーチして、自社の居場所を探し、もし違ったら、手探りで探し続けなければなりません。私も「天職」と思えるような居場所は起業から2年目になって、ようやく見つけました。
(4)同じステージに立つ方法
さて、大企業と同じステージに立つことができるのが、現代の良いところです。この点、起業チャンスは大いに増えたのではないでしょうか。先ほども少し触れた、インターネットです。
考えてみてください。パソコンの前だと、モニターと一対一です。みなさん飲み会の幹事になったら、パソコンで検索してお店を探すことも多いでしょう。そのとき、モニターに写る文字の大きさは、大企業でも個人事業でも同じです。ある程度の技術をもって、ボリュームのあるサイトを構築すれば、検索してもらえることでしょう。これは起業当初、私も大いに助けてもらいました。これがなかったら、起業は失敗に終わっていたかもしれません。小資本で起業するのにとても役立つツール。それがインターネットです。暇さえあれば、その時間を全てホームページ構築とそのネタ探しに費やし、開業日には1日1000以上のアクセスを確保していました。これが商売のベースとなったのは言うまでもありません(今でも1日1000アクセスは、簡単なことではありませんね)。その後もメルマガは183週間連続で発行し、読者は2500名いました。ホームページの総ページ数は3000を超え、今年一気に整理しました。
私のような小さな会社では、一等地に大きな看板を掲げることはできません。せいぜい事務所前の看板と電柱広告くらいでしょうか。ところが、インターネット上では、対等なのです。利用しない理由がありませんね。
●最後に
小さい会社ならではの利点を活かして、これからもしっかり自社の「居場所」を作っていきたいと思います。
と同時に自社だけでなく、「天職」ではないかと述べた創業支援においても、クライアントの「居場所」を確保するお手伝いも、力を入れていきたいと思います。私は会社を大きくするつもりは今のところなく、居場所を確保した企業(or 人)をどれだけ増やしていくことができるか、そちらに力を入れていきたいと考えます。そういった価値基準があっても良いのではないかと考えます。これが、自社・私の社会における「居場所」かもしれません。
幸いにして、この「居場所づくり」に関して志を同じくする方が大勢いらっしゃいまして、共に楽しく仕事をさせていただいています。起業して本当に正解でした。
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