銀行時代に、「サービス業とは何か」ということを教えてくれた方がいます。
行動によって、示してくれました。
このような方を、世間では最近メンター、コーチなどと呼ぶようになりましたね。
●例:銀行のお客様(法人)が本店住所を移転したとします。
銀行として手続を行わなければいけないことを、システムを利用して検索します。
住所の変更届は、預金取引・融資取引・外為取引・貸金庫などが共通の様式になっていました。それに加えて、印鑑紙という取引印の用紙も新しくもらいます。通常法人名と所在地、取引印がセットになって銀行の書類をいただくことになるので、新しい住所のゴム版を使用した印鑑紙をいただきます。
あとは住所変更が確認できる「履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本)」をいただき、住所をシステム上変更します。
銀行員の事務処理としては、これで完了かもしれません。
しかし、その方は違いました。
何が違ったかというと、視点が完全に逆なのです。
お客様の視点だったのです。
これは衝撃でした。いままでのサラリーマンとしての価値観がひっくり返されるような感覚でした。
当時「お客様第一主義」を掲げておりまして、何となく「お客さんを大事にしないと」と考えておりましたが、「そういうことか!」と目から鱗でした。
法人が住所を変えて、どんなことが必要となるか。
どんな不都合があるかを、考えるのです。相手の立場に立って。
郵便物はきちんと届くか、自分の銀行に関しては、システム上変更すればOKです。でも、現在送付予定となっている郵便物が事務方にないか。あれば、新しい住所に送付しなければなりません(システム上の住所変更が数日かかることを計算に入れることが必要、それ以前に、時間を要する手続だと言うことを知らなければなりません)。
郵便物に関してはまだあります。郵便局の転送設定がされているかどうか。銀行には関係ないかもしれませんが、お客様にとっては重要なことです。
とにかくこの方は「完璧」に想定されるリスクをつぶしているかということを徹底していました。「そこまで考える必要ないじゃない?」という妥協を許さない人でした。
自分の銀行にとって必要なことだけでなく、お客様に何が必要かを考えることが、「お客様第一主義」です。そこまで徹底していると業務効率の点では大きなロスとなるかもしれません。しかし、細やかな気配りを積み重ねていけば、徐々にスピードアップしていきます。やらなければ、それで終わり。
住所を変えるときに、どんなことに注意すればよいか、もし日頃のお付き合いでうまく関係構築ができていれば、その人の所にまず相談が来ます。
そうすると、銀行員として営業の機会が生まれます。
住所移転するのは従業員が増えてきて、広いオフィスにしなければならなくなったのでは?となると、設備資金や運転資金が必要となるのでは?
雇用が発生するのであれば、従業員との職域取引も見込めます。
4年前より、ひょんなことから独立し、事業をしております。
このようなサービス業(コンサル、行政書士、IT)をまさに行っているのですが、この教えがとても役に立っています。業務でも相談でも、相手の立場に立って真剣に考えることの重要性をつくづく感じます。ついつい自分の専門の土俵上で話をしたくなりますが、あくまで相手に合わせてお話をするように努めています。
リスクを徹底的に洗う、これは契約書の作成業務でも役立っています。まさにお客様のビジネスに直結した「お客様第一主義」でしょう。契約書は厳しくすれば良いというものではありません。要求事項ばかりになってしまうと、相手方が契約書に判を押してくれなくなります。その辺りの力加減もあるので、自分の側から「こういうのはいかがですか?」という書面を作ってしまうということはまずありません。そして、契約書に盛り込みたいという事項は、全て条項に反映させます。もし明文化するのに相応しくないものがあれば、それは再度ご説明した上で検討していただきます。
●サービス業の極意 Part.1
相手の立場に立って
手抜きしない
このことを教えてくれた元上司に感謝です。
(参考)サービス業の極意Part.2楽しいところに、仕事は集まる
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